
バットにボールが触れた瞬間に放たれる鋭い打球音、その豪速を追うプレーヤーの敏捷な動きと華麗なボールさばき。ファンはもちろん、その見る者全てを魅了するアメリカメジャーリーグの試合。選手ひとり一人のファインプレーが全米はもとより世界中から歓声があがる。そのファインプレーを影で支えている一人の男がいる。
麻生茂明、62歳、米国ウイルソン・スポーティング・グッズ社のグローブデザイナーである。
シカゴのオヘア空港近くにあるウイルソン社は、最上階に当社の製品が博物館のように展示され、各自のデスクも雰囲気を壊さぬよう非常にきれいに整頓されてい近代的なオフィス。その中で異彩を放っているスペースがある。デスクにはグローブと書類が散らかり、段ボールの山が壁を覆うがごとく積まれ、床には丸まった牛の一枚革が転がり…。そう、ここが麻生茂明の仕事場なのである。